アマチュア無線方向探知(ARDF)競技
ARDFについて、Q&A形式でまとめてみました。
興味のある方はもちろん、初めての方も是非読んでください。
1.ARDFってなに?
ARDFとは、Amateur Radio Direction Findingの略で、日本語に訳すと、「アマチュア無線方向探知」となります。
この競技は、簡単にいうと、「アマチュア無線を使用したオリエンテーリング」と思っていただければ、わかりやすい と思います。
つまり、地図上のある、どこかわからない地点におかれた、指向性アンテナ付きの受信機と地図、コンパスを駆使して 探し出し、
制限時間以内に、どれほど多く早く見つけるかを競い合う競技です。
2.ARDFってどんなところで競技するのですか?
ARDFは、主に森林公園、山中などの、ある程度の起伏のある場所で、周りが樹木で囲まれているような林間 地帯で行われています。
ARDF競技(信州地方ARDF競技大会より)
3.ARDFは誰でも参加できますか?免許はいりますか?
ARDFは、誰でも参加することができます。日本アマチュア無線連盟の会員でなくても参加できます(表彰対象から除外される場合があります)。
また、電波を受信するだけなので、アマチュア無線の免許はいりません。 それに、身体障害者の方も、介護者が同伴すれば参加できるのです。
ただし、全日本競技大会は、選抜された選手、または、別に定められた選手しか参加できません。
4.競技は雨でも開催されますか?
雨で競技が中止になることはありません。雨が降っても競技は行われますので、カッパなどの雨具を用意した ほうがいいでしょう。
ただし、傘はだめです。手を使えなくなるので競技ができません。 また、受信機は水にとっても弱いのです。
受信機が濡れないようにビニール袋や、粘着テープなどを事前に用意しま しょう。
アンテナをBNCなどのコネクタで接続している場合、コネクタに水が入ってくると感度が落ち、最悪の場合、無線機が故障することが考えられます。
5.競技にはどんなものが必要ですか?
競技には、次のものが必要です。
専用の受信機、または、ハンディ機とアッテネーター(減衰器)
指向性のアンテナ
ヘッドホン(ステレオタイプのもの)
受信機用の電池(新品が望ましい)
時計(ストップウオッチがついていれば便利かな?)
方位磁石(オリエンテーリング用のものが使いやすいです)
筆記用具(鉛筆が望ましい、特に赤鉛筆)
マップケース、または、画板(地図を貼りつけ、書き込みするため)
雨具(カッパ)
靴(運動靴、スニーカー)
防水用ビニール袋、粘着テープ
また、競技にあれば便利なものとして、定規、コンパス、帽子、ウエストポーチ、着替え、手袋、タオルなどが あればいいでしょう。
重要なことですが、競技は、森林地帯で行われることが多いのです。近くにお店がないことが多いので、お弁当 や飲み物は持っていった方がいい場合があります。
競技後、昼食が出るか、別途競技申し込み時に申し込んでおく 必要があるのかどうかは、競技主催者に問い合わせてみてください。
なお、当然のことですが、携帯電話で通話を行ってはいけません。競技開始前に電源 を切り、主催者指定の方法で預けるなどの行動をしましょう。
使用した場合は失格になる恐れがあります。 (山間部で競技するので、サービスエリア外のことが多いのですが、競技中の使用は禁止です)
なお、ハンディートランシーバーの使用は禁止されていません(ただし、送信は禁止されています)。
ARDF競技に使用する専用受信機の例 写真は144MHz帯のもの。
6.競技はどのような服装で参加すればいいですか?
競技は、森林地帯で行われます。また、送信機は草むらなどにおかれていることが多いですので、トレーニ ングウェアなどは、長袖、長ズボンをおすすめします。
7.競技に参加するにはどうしたらいいですか?
アマチュア無線関係の雑誌(CQ誌など)、日本アマチュア無線連盟の会報(JARL NEWS)には、 必ず掲載されています。
それらの記事を読み、その通りに参加申し込みをしてください。 また、各種メーリングリストなどでも、知ることが出来ます。
8.参加クラスはどのようなものがありますか?
参加クラスには、
VTクラス(55歳以上の男性)
OTクラス(40歳以上、55歳未満の男性)
OMクラス(19歳以上、40歳未満の男性)
JNクラス(19歳以下の男性)
YLクラス(年齢に関係なく女性すべて)
の5クラスがあり、参加者がクラスを選ぶことはできません。
ただし、クラス分けは、地方の大会や、練習大会では、参加クラスが選べるものがあったり、特別なクラスがある場合があります。
競技案内をよく読み、わからな い場合は、競技主催者に問い合わせてみてください。.
なお、このクラス分けの年齢は、1月1日現在の年齢を使用 しますので、間違わないように気をつけてください。
なお、VTクラスは、1998年より日本でも適用されています。
9.ルールをわかりやすく解説した参考書がありますか?
日本アマチュア無線連盟から、 「ARDFガイドブック」という冊子が発行されました。一部300円です。 この冊子は、マンガでルールがわかるものです。クラブなどで新たにARDFに参加する場合のテキストや、初めての 方にはおすすめの冊子です。詳しいことは、日本アマチュア無線連盟運用課または、事業課へ問い合わせてください。 なお、審判員講習用テキストも、同様です。詳しいルールは
ARDFのページ
(JE0GTT局)でもごらんになれます。
「ハムのスポーツARDFガイドブック」 日本アマチュア無線連盟
10.競技中に使用する地図はどんなものですか?
競技中に使用する地図は、主催者が用意した地図です。それ以外の如何なる地図などの使用は認められません。
地図にはスタート地点(三角で表示)、ゴール地点(二重丸で表示)、縮尺、方角などが記載されています。 大会によっては給水ポイントなどもあります。
また、方角は磁北線で表すのが一般的ですが、そうでない場合もありますので注意が必要です。 競技用の地図には、作図をしても構いません。
探索した時の方角など、競技に役立つ情報を記入しておくとよいでし ょう。また、競技中に地図を落とすことのないよう、マップケースや、画板を使って対策しましょう。
さらに、地図に使われている紙質が悪いことも多々あります(地方大会などは白黒コピーということが多いです)。 そのため、雨に濡れたりすると、滲んだり破れたりして、
地図が使い物にならなくなります。本来ならば紙質を良くし なければいけないのですが、予算の都合上、どうしても防水加工は難しいのが現状です。
雨に濡れても大丈夫なような 対策はしておきましょう。 最後に、「主催者が競技開始10分前に競技者に配った地図以外を使用することはルール違反」です。
たとえ、1週間前にオリエンテーリングの大会があった場所でARDF競技が行われても、オリエンテーリングの際に使用 した地図は使用してはなりません。
実際の競技に使われた競技用地図(JG5RSTが実際使った物[右側])
11.受信機やアンテナを受信機置場に置いたら、自分の呼出時刻が来るまで触れないと訊いたのですが、本当ですか?
はい。如何なる理由があろうとも、主催者の指定する受信機置場に受信機などを置いた場合、一切触れてはなりません。それは、自他のもの限らず触ってはいけません。 なぜならば、触れるということは、電源を入れて受信することも可能ですよね。もし、もう、電波が発射されていた ら、発信地を特定することが出来るかも知れません。
それは不公平です。ですから、触ってはなりません。 また、受信開始地点まで受信機の電源を入れたり、ヘッドホンを耳に入れたり、コードを接続したりしないほうが
望ましいです。受信していると思われて失格になるかも知れません。 失格と疑われるような紛らわしい行為はしてはなりません。
くだらないことで失格扱いされて、みんな不機嫌な大会 になるより、ちょっとしたことをきちんと守って、楽しい大会にする方がずっといいですよ。
もし、初心者の人がそのような行為をしていたら、口頭で注意してあげましょう。ただし、競技開始後はだめです。
12.競技途中、近くの人から「これは何をしているのか?」と訊かれました。教えてあげるべきですか?
はい。教えてあげてください。ルールには競技者間の会話は禁止ですが、地元の人などに訊かれたら、「アマチ ュア無線を使用したオリエンテーリングです」などと
教えてあげましょう。無視したりして、アマチュア無線のイメージ ダウンにつながる行為はやめましょう。
場合によっては、ヘッドホンから音を訊かせてあげたりすると喜ばれます(余裕のあるときはです)。実際に、訊かせてあげたことがあります。
13.競技途中、競技者が人命に関わる事態に遭遇しました。どうするべきですか?
競技者間の会話は原則禁止ですが、もし、競技者が怪我をしたりして、人命に関わる事態となった場合等は、 近くの競技者・審判員と協力して助けてあげましょう。
競技よりも人命が大事です。 また、自分が競技続行不可能な怪我をしたり、気分が悪くなったりした場合、審判員などに申し出ましょう。
競技棄権(リタイヤ)になりますが、身の安全のためです。
ゴール後に、体調がおかしい、怪我をした等の場合、すぐ審判に申し出ましょう。放っておくと、人命に関わる ことになるかもしれません(私も、過去に経験しました)。
14.審判員免許はどうすれば取得できますか?
審判員免許を取得するには、審判員講習会を受講しなければなりません。講習会の開催日程はJARL NEWSなどで確認してください。
なお、20歳以上のJARL会員でなければなりません。 また、講習会で取得できる免許はB級審判のみです。
A級審判になるには、競技大会での審判経験をしなければいけません。
このほかにも、「ARDFについてもっと知りたい」というような要望、ご意見などございましたら、以下までお願いします。 分かる範囲でお答えします。
tifille@sx.sakura.ne.jp
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